12歳女子による自転車事故についての運転者とその両親の責任(名古屋地裁平成30年2月20日判決(交民51巻1号175頁))

【当事者】

  X:歩行者

  Y₁:自転車運転者(事故発生時12歳)

  Y₂:Y₁の母親

  Y₃:Y₁の父親

【事案】

  Xが,歩行者用信号機の青色表示に従って交差点横断していたところ,Y₁運転の自 転車がXに衝突し,Xが転倒した。なお,Y₂は,Y₁と共に事故現場交差点を自転車で走行していた。

【裁判所の判断】

<Y₁の責任>

裁判所は,「被告Y₁(当時12歳)が責任無能力者であったことを認めるに足りる証拠はない」として,Y₁の責任能力を認めた(このことから,Y₂,Y₃の民法714条1項責任も否定)。

<Y₂の責任>

裁判所は,「被告Y₁は当時12歳であったこと,被告Y₂は被告Y₁とともに本件交差点を自転車で走行していたことに照らすと,被告Y₁の母である被告Y₂は,被告Y₁に対し,横断歩道ではなく自転車横断帯を走行するよう注意を促し,交通法規を遵守するよう指導する義務を負うとともに,被告Y₁が交通法規を遵守し安全に走行しているか否かを確認する義務を負っていたというべきである」とした上で,Y₂がこれらの義務を怠ったとして,民法709条に基づく損害賠償責任を認めた。

<Y₃の責任>

裁判所は,XがY₃の具体的な監督義務違反を主張していないこと,Y₃による自転車運転についての不適切な指導を認めるに足りる証拠はないこと,Y₃が事故の際にY₁のそばにおり,Y₁が安全に走行しているかを確認しなかったという事実は認められないこと等から,Y₃の民法709条責任を否定した。