居住建物の焼損と慰謝料

東京地裁平成27年1月15日判決(判例時報2258号78頁)
 
 隣接する工場内での火災により焼損(修理見積額は約66万円)した家屋(原告甲野建物)の居住者(原告太郎)が慰謝料等を請求したという事案において,裁判所は「原告太郎は,本件火災発生時,仕事のため原告甲野建物にはいなかったが,本件火災の発生の知らせを受けて帰宅したところ,上記のとおり,原告甲野建物が損傷していることを知り,衝撃を受けたものと認められ,これに一件記録から認められる一切の事情を総合すると,原告太郎が本件火災により被った精神的苦痛を慰謝するには,30万円をもってするのが相当である」と判断している。
 
 一般に,不法行為に基づく損害賠償請求訴訟においては,物損については被侵害利益が財産権である以上損害も財産的損害に限られるとの理由で,物損を理由とする慰謝料は原則として認められないものとされている。
 ただし,不法行為により住居が損傷した場合には,財産権の他に,住居の平穏や生活の利便の侵害も認められるということで,例外的に慰謝料請求が認められることがあるとされている。
 上記判決では,居住者が居住建物の損傷を知って受けた衝撃というものに着目して,慰謝料請求を認容している点が目を引く。
 

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