賠償額の算定上,不正乱視をどう評価するか

東京地裁平成23年10月6日判決(判例タイムズ1409号391頁)

 
【事案の概要】
X(裸眼視力は左右共に0.3)は,Y経営の病院で,イントラレーシック手術を受けた。その結果,左眼の視力は2.0まで回復したものの右眼の視力の回復は0.4程度にとどまった。
Xは右眼に瘢痕が生じ,視力が矯正不能になったと主張して,Yに対する損害賠償請求訴訟を提起した。
この訴訟において,Xは,労働能力喪失率については14パーセント(後遺障害等級12級に対応する喪失率)であり,就労可能年数については29年間(症状固定時から67歳までの期間)であると主張した。
裁判所は,担当医の手技上のミスがあったと認定し,その使用者であるYについて使用者責任(民法715条1項)の成立を認めた。
 
 
【ここで取り上げる争点】
裁判所は,Xの症状等について,裁判所は,角膜瘢痕及び不正乱視によりXの右眼の視力は矯正不可能であること,左右の視力差や不正乱視によりXには眼精疲労,眼底痛,肩こり等の自覚症状がある旨認定している。このような障害はどのように評価されるのか?
 
【裁判所の判断】
裁判所は,Xの後遺障害の等級について「後遺障害等級14級9号にいう「局部に神経症状を残すもの」に準じて14級に当たると評価するのが相当である」と判断した。また,労働能力喪失期間については10年間と評価した。
 
【若干の感想】
Xに生じた角膜の瘢痕は,いわゆる器質的損傷に該当するものと考えられる。
いわゆるむち打ち損傷においても器質的損傷を伴うものについては後遺障害等級12級に該当する旨判断したものも多くあることからすると,本件でも,Xの主張どおりの後遺障害等級,労働能力喪失率を認めるという結論も十分ありえたのではなかろうか?
 

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