【交通事故】顔面の傷跡と逸失利益

 自保ジャーナル1918号128頁掲載の東京地裁平成26年1月14日は,交通事故により顔面に傷跡が残った演劇研修所の男性研修生について,逸失利益の発生を認めなかった。

 外貌醜状については,たとえ損害保険料率算出機構が後遺障害に該当する旨の判断を下していたとしても,醜状は通常の労働に特段影響を及ぼさないことから,逸失利益の発生を否定する裁判例は珍しくない。  ただ,醜状の存在が労働に直接影響を及ぼすおそれがある場合には,逸失利益の発生が認められるものとされている。この例として,芸能人やホステス等がある。

 本件では,被害者は男性演劇研修生であり,損害保険料率算出機構は被害者の醜状について後遺障害等級12級14号(男子の外貌に著しい醜状を残すもの)に該当する旨の判断を下していた。  しかし,東京地裁は,東京地裁は,醜状が舞台俳優活動の支障となるものではないこと,他の研修生と比較して活躍の場が少ないというわけではないということ,将来の俳優としての成功可能性は様々な要因に左右されること等を指摘して,逸失利益の発生を否定している(ただし,映像分野での活動において醜状支障となる可能性があるとして,通常のケースよりも高額の後遺障害慰謝料(700万円)を認めている)。